※個人の感想です
平成31年に中桐啓貴さんという、金融機関に属さない独立系ファイナンシャルアドバイザーの方が書かれた本です。“ほとんど金融や投資に対する知識がない30代前半の隆一が投資のことを先生から学んでいくという物語”になっている。
中桐さんはかつて山一證券に勤めていたそう。山一證券は個人的にすごく興味がある・・・1997年に倒産しているけど、今の野村証券や大和証券に並ぶ証券会社で、当時社員は、会社の倒産をテレビの報道で知ったそう・・。だから、自分が今勤めている会社が明日潰れたっておかしくないし、テレビで、社員は悪くない、悪いのは経営陣だと泣きながら会見をする社長を見る機会が来るかもしれない。
しかし、例えば銀行がつぶれたら、預金1000万円とその利息は保証される~など、現実に起こらないだろうと思っている決まりごと。これが本当に発動することなんてないでしょうと思っているけど、山一證券の例が、現実味を持たせてくれる。
投資の現状
投資信託をするにあたって、「分散投資」、「長期投資」ということをよく聞くと思う。「たまごを全て同じカゴ入れない」、「ドルコスト平均法で数十年後の大きな利益を狙う」ということを。これは私も同感。お金持ちで遊びのお金がたくさんあるならいいよ、でも400万円の人が生活費をやりくりしながら資産運用で成功しようと思ったら、この方法しかない。
しかしとあるネット証券に、積み立て投資の、平均積み立て期間を調べてもらったところ、なんと2~4年だったそう。なぜ2~4年で積み立てを辞めてしまうのか。長期で運用をしたほうがいいと聞いていても、だ。
その理由と、長期投資を継続することの重要性(短期で解約する必要はない)がつらつら書かれている本になっている。
投資を辞めてしまうのは、投資の軸がないから
投資は長期継続することが大事、と知っていても、実際その理由を知っている人はどのくらいいるのだろうか。理由が分かっていなければ、いざ迷ったときにすぐ折れてしまうのは当然。
投資の軸を持つことが大事だという。なぜ、長期で投資を継続することが大事なのか。これから投資を始める人も、今始めている人も、理解しておきたい内容である。
長期投資に対する軸があれば、短期的な経済の下落にビビって投資を辞めてしまうこともないし、気にすらしなくなるという。
要は【資本主義社会】の仕組みと現状と将来性を理解しておくことが大事なのだという。
この世界は資本主義社会
“機長やキャビンアテンダントたちは、飛行機は揺れることはあっても簡単には落ちないことを理解しているので、動じないのだと思います。投資も同じで長期的に投資を続ける中で、一定の揺れは必ずやって来ます。それを乗り越えるのに必要な知識の1つが資本主義への理解です。”
“資本主義は『経済行為の自由』と『生産財と財産を個人で所有できる』を基軸とする社会”
世界が資本主義(ほとんどの国について)になって久しい。資本主義は人々の欲求によって成り立っているから、生命力が強い。お金の稼ぎ方、使い方は自由。眠りたい食べたいから始まり、お金を稼いで自由に暮らしたい、ココに住みたい、アレが欲しいコレが欲しい・・
周りに肉屋があり酒屋がありパン屋があるのは、私たちの生活を支えてくれているのではなく、そのお店の主人が自分の利益を追求するからに他ならない。昔は皆、自給自足で生活していたのだから。
資本主義は限界だ、終焉だといろいろ悪く言う人はいるけど、それに代わるシステムはいまだ現れてはいない。(ベーシックインカムが対抗馬なのかな?と思ったり)
会社員の給料はどうだろう。忙しく働いても、10日有給使っても、その月の給料は変わらない。安定の極み。
しかし同じ年齢で会社員でも、年収が倍以上違う人がいる。資本主義の考えでいけば、これが今まで自由に生活してきた結果。どの学校で学び、自由時間を何に使い、どういうアルバイトを経験したか・・それを自由に決められる社会で、日々選択してきた結果が今の自分を作っている。怖いよ~。
最近では副業解禁している会社も多い。むしろ禁止している会社が浮く。副業の収入が本業を超えている、そして会社を辞めている、という人もちらほら・・
日本人は、投資にはリスクがあると考える。
資本主義は、仕事や投資、プライベートでもまだ確定していない将来に向けて労力やお金を投じる人に、リターンを与える社会。
よってこの世が資本主義社会であり、人々の欲望が亡くならない限り、世界は成長していく。短期的に経済が止まることはあっても、進み続けるし、発展して成長していくはずと考えられる。
この世はお金稼ぎゲーム。
投資は社会還元。投資なくして成長はない。
企業が設備投資をして生産活動ができるのはなぜか。そのためのお金を誰かが投資しているから。
企業が利益を上げたら、その利益の一部を還元してもらう。企業が利益を上げたら、私たちのお給料が上がるかもしれない。(微々たるもんだけどね)
銀行からお金を借りているとしても、その銀行にお金を預けているのは誰か?銀行だって、誰かのお金で成り立っている。
商売の哲学三方よしでも言われているように、「自己の利益」「顧客の利益」「社会の利益」が一致しないものは長く続かない。投資は、長く続ける価値のあるものと言える。
今さえ良ければいい。他人が損しても自分にだけお金が入ればいい。社会には悪影響だけど自分にお金が入るからいいや・・・は、汚いお金。
資本主義って、ああこういう意味でしょ?という表面上の理解が、海底深くまでいった感じ、いや、ちょっと難しくてもっかい読まないと分からない(すでに忘れている)ことろもある。
長期投資の意味が分からない、ただ何となく投資を続けている、という人には背中を押してくれ、理解を助けてくれる。また何となく不安で、何となく投資を辞めたいと思っている人に、ストップをかけてくれる本になっている。












